校長あいさつ

ごあいさつ 

                            福島県立福島明成高等学校 校長 安田修久

 本校は、明治29年、当時の基幹産業であった養蚕を学ぶ学校として、外山亀太郎博士を初代校長に、福島県蚕業学校として信夫郡渡利村(現福島市渡利)に創立されました。外山先生は、メンデルの法則が動物にも適用される事を、世界で初めて、蚕を使って証明された世界的遺伝学者であり、養蚕技術史上最大の功績とされる「一代交雑の実用化」、つまり、メンデルの「優性の法則」を利用し、劣悪であった生糸の品質と生産性を飛躍的に向上させるという革命的な偉業を成し遂げられました。先生の「科学する心を持って学べ さすれば 世のためとなる」という教えは、本校教育理念の「実践的な学び」の礎であり、その精神は今日に引き継がれています。
 昭和19年、福島県立信夫農学校(明治43年創立、当時は福島県信夫郡立農学校)と合併し、福島県立福島農学校となり、昭和23年、学制改革と伴に福島県立福島農蚕高等学校と改称、昭和42年、現在の福島市永井川の新校舎で授業が開始されました。平成8年に創立100周年を迎え、翌年の平成9年に校名を現在の福島県立福島明成高等学校と改称し、生物生産科、生物工学科、環境土木科、食品科学科、生産情報科の5学科、1学年6学級とする学科改編を行いました。
 体験的学習や課題探求型学習を重視する学習形態を取り入れ、「科学する心」「自立する心」「勤勉な心」「不屈な心」「感謝する心」の5つの心を校是とし、生命体を扱う「農業」特有の教育力をフルに活用した教育活動を展開しております。
 西に雄大な吾妻山と安達太良山、東に穏やかな阿武隈山地を臨む広大な敷地に、数多くの学習施設や学習教材が配置された恵まれた学習環境のもと、全校生徒521名が自己実現に向け、農業をはじめとする地域産業と文化の担い手となるべく、福島県の復興を担う人材となるべく、日々の学習活動に取り組んでおります。
 東日本大震災と福島第一原子力発電所事故では、大変なご心配をおかけしましたが、国や県、そして、各方面より物心両面からご支援をいただき、施設の復旧や除染も済んでおります。
 令和4年度には、少子化に対応するための県立高等学校改革前期実施計画により、本校は1学級を減ずることとなり、生物工学科を募集停止とし、25年ぶりに学科構成に変化がありました。しかし、今後も、広大で充実した教育環境のもと、農業の重要を理解し、興味関心を持って意欲的に学び、農業の基本的な知識・技術を身に付けて、持続可能な農業の展開や地域社会の活性化に寄与できる人材の育成に努めてまいりますので、本校教育活動へのご理解とご支援を賜りますようお願いを申し上げ、ご挨拶といたします。